真理

真理

覚悟を名前に込めて──“真理”が音楽に刻むまっすぐな想い
ZUBAFES 2025のオープニングアクトとしてステージに立つのは、シンガーソングライター・真理(まり)さん。自身の“本名”をそのまま名乗って活動を始めたというその背景には、揺るぎない覚悟と、まっすぐな想いが込められていました。
「これが最後のつもりで、自分に覚悟を持たせたかったんです」
その決意は、歌声だけでなく、言葉の一つひとつからも伝わってきます。

音楽しかなかった!!

音楽との出会いは、中学の送る会。友人に誘われて初めてステージで歌ったことがきっかけでした。

そして高校に進学して、将来のことを真剣に考えるようになったとき、進学でも就職でもない選択肢を模索するなかで、「音楽しか浮かばなかった」と

「17歳のときに、初めて“シンガーソングライター”を目指そうって思いました。でもそのときはまだ、曲も書けなかったし、どうすればいいかもわからなかった。だから、初めて“学ぼう”と思ったんです」

本名で活動するという“覚悟”

活動初期はSNSでの投稿が中心で、名前も“それっぽい”ハンドルネームだったという真理さん。そんな彼女が本名で活動を始めたのは、2023年春。

「ちゃんと“自分の名前”でやりたいと思ったんです。もう次はない。そう思って覚悟を決めました」

その“覚悟”の表れとして選ばれたZUBAFESの舞台。北浦和駅前という開かれた空間でのオープニングアクトには、特別な感慨があるといいます。

「ライブハウスが好きなんです。全員が一つの音に集中してくれて、音そのものが“音楽になる”瞬間がある。でもフェスはそれとは違う良さがあると思う。いろんな人がいて、いろんな目線があって、それが楽しみなんです」

絵と音楽。形のない“気配”を残したい

歌だけでなく、アルバムのアートワークも手がける真理さん。専門的な訓練を受けたわけではなく、あくまで趣味として描いてきたといいます。

「でも、絵も音楽も、正解がないところが似ているなって。人によって“いいね”って思う場所が全然違うんですよね。だからこそ、抽象的な“気配”を残すようなものに惹かれるのかもしれません」

そんな彼女が、今一番大切にしているのは“光”。

「最初は自分の気持ちだけで書いていたから、暗い曲も多かったんです。でも続けていく中で、聴いた人にとって、ちょっとでも“光”になれるような歌を届けたいなって。自分が聴いていて救われるような、そんな曲を目指すようになりました」

届けたい歌、伝えたい言葉

ZUBAFESでどんなステージを届けたいか、想いを尋ねてみると、「一言一言を丁寧に届けたい」と話してくれました。歌詞の言葉選びにも気を配っていて、「最近は、“自分がこう思う”じゃなくて、“あなたもこう思ったことあるよね”っていう問いかけのような形にしてます」とのこと。

自身の“らしさ”が詰まった曲として挙げてくれたのは、セカンドシングル『願いごと』。

「“明日晴れたらいいな”っていうくらいの、ちょっとゆるくて、それでも前を向けるような。そんなスタンスが私らしいと思うんです」

そしてもう一曲は、『ダレカノモノデモ』。

「ほろ酔いで歩く帰り道に、“この人たちは今どんな生活してるんだろう”って妄想しながらメモして、それが形になった曲です。日常の切り取りが、私のインスピレーション源かもしれません」

フェス飯はオムライス!ケチャップは“くにょくにょ”でお願いします(笑)

ZUBAFESの恒例企画“フェス飯トーク”では、真理さんの“推し”も伺いました。

「私、オムライスが大好きなので……“オム丼”みたいな感じで出したいなって思います」

「メイドカフェとかでも出てくるような定番かもしれないけど、私は本当に好きなんです。アニメとかであるじゃないですか、“くにょくにょ~”って綺麗にかかってるやつ。あれが自分でできたらテンション上がります(笑)」

配信と現実。だからこそ、“出会える喜び”を大切に

「配信って、メンタル削られるんですよね。だから最近は、“食べて、寝る”が一番大事。続けるって、それくらいシンプルなことかもしれないって思うようになりました」

TikTokやライブ配信を通して、多くの人と出会ってきた真理さん。ZUBAFESというリアルな場でしか生まれない“出会い”に、今、大きな期待を寄せています。

「ライブハウスとは違って、普段会えない人に出会える場所だと思うんです。だからこそ、ちゃんと目を合わせて、一言でも気になってもらえたら嬉しいなって思ってます。“出会いの技(わざ)”みたいなものを感じられたらいいな」

「私も配信やってるので、気持ちはすごくわかります。いつ誰が見てくれてるかわからない世界だからこそ、ちゃんと頑張りたいって思える。でも、頑張りすぎると壊れちゃうので……無理しないで、食べて寝ましょう!(笑)」

後記
「本名で活動する覚悟」に始まり、「くにょくにょのケチャップ」に至るまで――真理さんの話には、まっすぐで等身大の言葉があふれていました。
その語り口はとても柔らかいのに、話しているときの目には、芯のある強さが宿っていて。しなやかさの奥にしっかりとした覚悟があることを、彼女自身が何より物語っていました。
その存在、たたずまいが音楽のようで、こちらを楽しくさせてくれるメロディーが流れていました。
ZUBAFESのスタートを告げる彼女のステージは、春風のようにやさしくて、でも心の奥にふっと届く──そんな幕開けになるでしょう。
2025.05.09
一覧へ戻る