Coyote Reverie

夫婦で紡ぐ“音の旅”──唯一無二のアコースティックデュオが届ける、静かで力強いグルーヴ
ライブハウスでの出会いから始まり、音楽を通して夫婦となったふたり──Vo.&GuitarのワウとBassの清水玲(以下REI)によるアコースティックDuo「Coyote Reverie(コヨーテレヴリー)」。
編成はたったの2人。リズムマシンも同期もなし。“完全生音”のステージを届ける数少ないユニットだ。
フレットレスベースとアコースティックギターが織りなす、繊細で深みのあるサウンド。ふたりの息がぴたりと合ったパフォーマンスからは、音楽だけでなく“人生を共に歩むこと”そのものの美しさも伝わってくる。
ZUBAFES初出演となる今回は、その結成のルーツから、ふたりの音楽観、そしてZUBAFESへの意気込みまで、たっぷり語ってもらった。
自己紹介をお願いします!
ワウ:ギターボーカルのワウです。
REI:ベースのREIです。夫婦Duo「Coyote Reverie(コヨーテレヴリー)」として活動しています。バンド名は“旅する動物=コヨーテ”と、“夢想=Reverie”を組み合わせた造語で、ふたりで音楽の旅をしているような感覚を大切にしています。なお、Joni Mitchellの楽曲「Coyote」もネーミングの着想源のひとつになっています。
結成のきっかけは?
REI:もともとはライブハウスでの対バンで出会いました。彼女(ワウ)の歌声に惹かれて、それがきっかけで交流が始まり、やがて一緒に音楽をやるようになって。今では夫婦として、そして音楽仲間として活動を続けています。
ZUBALIGHT出演が決まったときの心境は?
ワウ:本当に嬉しかったです。応募のタイミングがギリギリで、「間に合うかな?」って感じだったんですけど、いざ決まったら“出るからにはやりきりたい”という気持ちが強くなっていきました。
REI:流れに導かれるように出場が決まったというか、不思議と“なるようになった”感じもあります。音楽活動を再開し始めたちょうどいいタイミングだったんです。
2人だけで演奏することの強みは?
REI:編成的には“最小”だけど、僕らにとっては“フル”なんです。ドラムも同期もなし、すべてリアルタイムでふたりが生み出す音で完結する。そのぶん、伝わる熱や空気の密度が濃い気がします。
ワウ:聴いてくださる方が耳を傾けたくなるような“静かな強さ”が出せたらいいなって思っています。
音作りにおいて、大切にしていることは?
REI:僕にとって“音作り”は、ある意味で“神聖な行為”に近いものなんです。
たとえばフレットレスベースでの音程ひとつにしても、毎回“命をかけてる”感覚で鳴らしてて。ミスも含めて、リアルタイムで鳴る“いま”の音に、全身全霊で向き合ってるんです。
だからこそ、ときどき「とりあえずループ貼っとけば曲になるでしょ」みたいな物に出会うと、どうしても、ちょっとだけ、“音作り舐めんなよ”って思っちゃうことがある(笑)。
音を扱うって、本来そんな軽いもんじゃないよね、って。
もちろん、音楽は“楽しむもので、音と遊ぶ感覚を持つこと自体大事!
それが音楽の原点だし、自由であっていい。だからこそ、“楽しむ”と“手を抜く”の境目は、本人の姿勢にあるんじゃないかな~と思っていて。
ちなみに、僕自身もDTMを使った作編曲は日常的にしていて、テクノロジーの恩恵はすごく感じています。生演奏でも、そうでなくても──いい音楽を届けるための手段に優劣はないと思っています。
ただ今回は、その中でもCoyote Reverieとしては “生身の演奏”だけで勝負してみようと考えました。
時間も手間もかかるけれど、“いま、ここ”でしか生まれない音が持つ説得力に賭けてみたかったんです。
ご夫婦でもありますが、音楽と生活、どのように向き合っていますか?
REI:音楽が“目的”としてはっきりあるので、日常の感情を持ち込まず、どんなときでも演奏には集中するようにしています。夫婦である前に、まず音楽仲間として尊重し合う。それがDuoとして続けていける秘訣かもしれません。
ワウ:子どもが生まれてからは、しばらく音楽をお休みしていた時期もあったけど、今こうしてまたステージに立てるようになって、やっぱり“音楽は生き方そのもの”だなって改めて感じています。
印象に残っているライブはありますか?
REI:「地下室の会」ですね。歴代のプロベーシストが集うイベントで、そうそうたるメンバーの前でCoyote Reverieとして演奏したときの緊張感は今も忘れません。
そのときに先輩方に「的確な視点で、独創的なことをやっているね」と言ってもらえたのが、自信にもつながりました。
ZUBAFESで優勝して50万円を獲得したら?
ワウ:まずはCDを制作したいです。今までちゃんと形に残る作品がなかったので、Coyote Reverieとしての「音」をちゃんとパッケージして届けたいと思っています。
REI:配信ももちろんいいんですけど、やっぱり“持ち帰れる音楽”って大事だと思うんですよ。CDとかバイナルとか、物として残るものを作るために、機材や録音環境にも投資したいですね。
Coyote Reverieの“フェス飯”があるとしたら?
ワウ:実家が東北なので、ごま餅を出したい!甘じょっぱいタレの味がクセになるやつで、実はすごくフェスに向いてると思うんですよ(笑)。
REI:僕は本格アメリカンBBQ!肉厚でスモーキーなやつ。あとは韓国ラーメンを鍋で出す、とか(笑)。何出しても二人でサーブしますけどね。
あなたにとって“音楽”とは?
REI:音楽は“生きているもの”だと思っています。リズムループも同期も使わず、ミスも含めて、リアルタイムでしか表現できない“今この瞬間”を届けたい。それが、僕のCoyote Reverieで表現したい音楽です。
ワウ:私にとって音楽は、生き方そのものです。子どもがいても、好きなことは続けていい。夢はあきらめなくていい──それをステージで体現して、誰かに届けられたら嬉しいです。
Coyote Reverieのステージは、派手な演出も照明もない。
けれどその2人だけの音楽には、驚くほどの“強さ”と“深さ”があった。
REIのスラップベースがドラムのように空間を刻み、ワウのギターがそれに呼応するように鳴る。
その絡み合いは、まさに**"jazz session"のような即興性と緊張感**に満ちていて、聴いているこちらの呼吸すら変わってしまいそうになる。
2人のあいだを行き交うリズムとフレーズは、まるで音による会話のようだった。
そしてラストの音が静かに終わった瞬間、思わず**「Whooo!!」と叫びたくなるような感動**がこみ上げた。
ZUBAFESという多様なアーティストが集うステージの中でも、Coyote Reverieの存在は“異彩”でありながら、“本質”でもある。
音数ではない、派手さでもない。ただ、ふたりの“今ここ”の音だけで、人の心を震わせる。
その静かで力強いグルーヴを、ぜひ会場で体感してほしい。